NPO法人化1周年を記念して2014年発行の『月刊群雛』電子版をすべて200円(税別)に!

日本独立作家同盟は5月26日、NPO法人化から1周年を迎えました。日頃のご愛顧とご助力に、心より感謝いたします。NPO法人化1周年を記念して、2014年発行の『月刊群雛』電子版をすべて200円(税別)に値下げしました。ぜひこの機会に、過去の『月刊群雛』を振り返ってみてください。

小説『99%の真実と、1%の嘘』が『月刊群雛』2015年11月号に掲載! ── 作品概要・サンプルと夕凪なくもさんインタビュー #群雛

『月刊群雛』2015年11月号

『月刊群雛』2015年11月号には、夕凪なくもさんの小説『99%の真実と、1%の嘘』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。





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※サンプルEPUBはBCCKSの詳細ページでダウンロードできます。



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作品概要


 ある日突然、和人かずとのスマホに幸代さちよという女から一通のメールが送られてくる。内容は「お元気にしていますか? 何をして過ごしていますか?」
 幸代は今から十年前に同じ精神科病棟で知り合った女だった。和人にとって幸代はとてつもなく厄介な存在だった。その上今の和人には守るべき大切な家族もある。
 本当はもう二度と関わりたくない相手だったが、守るべき家族のため、和人は幸代とわざとメールのやり取りをし、幸代の「今の状態」を把握しようとするが……。

 本当の「怖さ」とはどういうものか、ということを追求していった作品です。


99%の真実と、1%の嘘


 From sachiyo:お元気にしていますか? 何をして過ごしていますか?

木中きなか幸代さちよから突然届いた一通のメール。
 俺は一人慄然とし、嫁の美香みかが「ご飯できたよー」と呼ぶ声も無視して、一人でスマホを持ってトイレに駆け込んだ。
 外からトイレのドアを軽くノックする音が聞こえる。
「どうしたの? またお腹痛いの?」
 美香の心配そうな声に俺は、
「そうだ。しばらく一人にしてくれ」
 と応えて、小刻みに震えながらしばらくスマホをじっと見つめた。
「仕方ないねー。美花みはな、先にご飯にしよう」
 トイレの外から美香の呆れた声がする。ほぼ同時に娘の美花の「パパどうしたの?」という無邪気な声。
「またお腹痛いんだって。男の人はよくお腹下るって言うからね」
「あー言う言う」
 まだ五歳なのに美花は分かったような口を利く。
 けれども……。
 とにかく彼女たちを守らなくては……。
 俺はスマホを握りしめ、画面を睨みつけながら強く思った。
 この俺と美香と美花の生活。
 それを幸代なんていう爆弾を抱えたような女の餌食にされてたまるか。そもそも「幸代」という名前からして、ひと昔前によくあった名前じゃないか。まだヤツは今ごろ確か三十代半ばだと言うのに。その点からして気に食わないんだ。
 落ち着け……落ち着け……落ち着け俺……。
 呪文のように唱え、何度も深呼吸を繰り返した。
 予感は薄々あった。この日がいつか来るかもしれないと、ずっと前から密かに怯えていた。
 幸代の「ターゲット」が俺に向かう瞬間。
 それほど幸代は執拗で粘着質な女だった。とは言え幸代からの電話は着拒にしていたものの、メールだけはわざと着拒せずにいた。これは俺の戦略だ。幸代がターゲットたる俺にメールをしてきて、きっと近況を探って来る。その時が来たら俺もそれに乗っかる形で、幸代の近況を探る。そうやって「今の幸代の位置」を掴むことで、結果的に幸代の行動を把握し美花や美香を守ることに繋がる……という戦略。
 とりわけ美花はまだ五歳だ。
 ターゲットにされたら、ひとたまりもない。
 俺は震える手で、幸代に返信を打った。

※サンプルはここまでです。


夕凪なくもさんインタビュー


夕凪なくも

── まず簡単に自己紹介をお願いします
 夕凪なくも(ゆうなぎ・なくも)
 奈良県奈良市出身。
 小学生時代に江戸川乱歩の作品に感銘を受け小説創作を始める。高校生時代に某大手通信教育会社が発行する会員向け雑誌にショート・ショートを投稿していたところ、出版部より原稿執筆依頼が来る。同時期に奈良県の読書感想文コンテストにも入賞。
 早稲田大学第一文学部、千葉大学大学院で文学やフランス現代思想などを学び、その後も働きながら創作活動を続ける。
 今年九月E★エブリスタ「超・妄想コンテスト 水場の恐怖」で準大賞受賞。

 AmazonのKindleストアで、
・SF『if』
 ブレイン・ストリーミングという謎の装置が登場する物語の、第一弾作。

・SF『計算する知性』
 将棋電王戦に刺激を受けて書いた、コンピュータと将棋の物語。

・新刊小説集『99%の嘘と、たった1%の真実・他』
 エブリスタで過去に公開して多くの応援を貰った表題作ほか、『月刊群雛』に掲載した短・中編を集めた小説集。

 等が発売中。

 『月刊群雛』には2014年03月号から2015年創刊1周年記念号までたくさん作品を寄稿しましたが、それ以来の久しぶりの登場になります。

◆Twitter:
https://twitter.com/sazamekunami1

◆ブログ:なくもんか(T_T)
http://sazamekunami.blog.jp/

── この作品を制作したきっかけを教えてください
 E★エブリスタのコンテストで僕が参加できなかった時期のお題で、「メールを開いたら、恐怖が待っていた」というのがありました。
「自分ならこう書くな」と思う「恐怖」を書きたかったので、本作を執筆してみました。

 また本作は僕がAmazonで出版している『99%の嘘と、たった1%の真実・他』という電子書籍の宣伝も兼ねています。真実と嘘の比率を変えるとこうなるんじゃないか……というイメージを書いてみたかったです。

── この作品のターゲットはどんな人ですか
 家族を持っている人にとっては特に怖いんじゃないかと思います。

── この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか
 執筆そのものは二~三時間程です。
 けれどもその前には二時間ほどかけてプロットを作ったり、執筆後も時間の許す限り何度も推敲を重ねたりしています。

── 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか
 Twitterとブログです。

── 作品を制作する上で困っていることは何ですか
 表紙作りです。
 僕には絵を描く力やデザインする力もセンスも全くなく、いつも電子書籍作りの時に困ります。
 僕の電子書籍のほとんどの表紙がしょぼいのもそれが理由で、困っています。

── 今後の活動予定や目標を教えてください
 最近はE★エブリスタを中心に活動していました。そのおかげで準大賞もいただきました。
 今後もしばらくはエブリスタを中心に活動していくと思います。
 勿論『月刊群雛』にも参加できたらいいですが、掲載枠取りが大変なので……。
 エブリスタのイベントに落選した作品は、順次電子書籍化していく予定です。
 今後の目標としては、エブリスタの色んなイベントで賞を取りたいですね。今回の準大賞だけではまだまだ満足できません。

── 最後に、読者へ向けて一言お願いします
 夕凪なくも、いつも渾身の力を込めて執筆していますので、是非電子書籍をお買い上げいただき読んでくださると嬉しいです。僕にとってお買い上げは大きな応援です。優しいレビューもお待ちしています。


夕凪なくもさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2015年11月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。