NPO法人化1周年を記念して2014年発行の『月刊群雛』電子版をすべて200円(税別)に!

日本独立作家同盟は5月26日、NPO法人化から1周年を迎えました。日頃のご愛顧とご助力に、心より感謝いたします。NPO法人化1周年を記念して、2014年発行の『月刊群雛』電子版をすべて200円(税別)に値下げしました。ぜひこの機会に、過去の『月刊群雛』を振り返ってみてください。

群雛用の作品を用意しよう(2) ─ ゼロからおしえる群雛のはじめかた ─ hatching primer 第4章

ゼロからおしえる群雛のはじめかた ─ hatching primer

NPO法人日本独立作家同盟の電子雑誌『月刊群雛』に、作家と編集両方の立場から関わることになった波野發作(なみの・はっさく)氏が、『月刊群雛』への参加方法について優しくかみ砕いたガイドを寄稿してくれました。短期集中連載第5回は、「日本独立作家同盟に参加しよう」です。




第4章 群雛用の作品を用意しよう(2)


まずはコウガイを書こう


ここからは作品を書く話だ。『月刊群雛』に限ったことじゃないけれど、少し『月刊群雛』向けにアレンジして述べてみたい。

「梗概」という言葉がある。「こうがい」と読む。まあ、あらすじだ。こいつは藤井太洋さんのセミナーの受け売りなのだけど、「まずは800字の梗概を書こう」というものだ。詳しいことは同盟セミナーの冊子をお求めください。買い方は群雛ポータルに行けばわかる。というか、ここにある。

この梗概はとりあえず外に出すものじゃないので、オチまできっちり書いてもいい。というか書くべき。「そして男は……」「果たして犯人は……」とかそういうことじゃなくて「男は自ら命を絶つのであった。」「犯人はヤスだった」ということだ。まあ、物語の見取り図だね。こいつを骨組みにして、あとは10倍〜12倍に膨らませればOK(薄めないこと!)。


梗概を書くというのは、いろんな入門書でも言ってることなのでやはりやった方がいいだろうな。ただまあ、書いてるうちに話が走り出すこともあるので、その場合はあとで書き直しね。


プロットや設定表なんかも書いておくといいかもしれない。ただ、1万字の文章ならそんなに大げさにしなくてもいい。書いてしまえばいらなくなってしまうのだし。梗概だけで充分かもしれない。



ひたすら書く


この記事は、小説の書き方の解説ではないので、そういうのは他所を当たってくれい。なんぼでも出とる。まったく新しい方法を編み出したって構わない。人それぞれだからね。


ただまあ、ここを抜いても話のテンポが悪いので、ぼくのやり方だけざっくり紹介しよう。悪い事例とでも受け取ってくれればいい。

ぼくの場合、頭から順に書いていくのが基本。セリフだけ先にやったり、箇条書きにしたりとかというのは、やらない。ただ、セリフと地の文でストーリーを一通り作ったあとで、ウンチクだけ盛り込むことはしたことがある。でも、基本はウンチクも含めて読む順に書いている。

この連載は、とりあえず順番に書いた。書いたあとで加筆とか修正しているところもあるが、少なくとも初校時は書いた順になっている。まあ、その方がテンポがいいとか、いろいろ理屈はつけられるけど、結局はただそういう性格だってことじゃないかな。

ぼくは、梗概は一応書いたりするけど、面倒くさがって箇条書き程度のことが多い。それと、登場人物名と固有名詞のメモがぼくの地図だ。その地図に従って、頭に録画してあるストーリーを追っていくだけだ。ぼくは物語を考える時はだいたい映像で考えて、執筆時は脳内再生してひたすら書き留めるという方式だ。書きはじめてからストーリーを練ったりはあんまりしない。何種類かのオチを絞り込まないまま書きはじめて、キャラ次第でどれかに落ち着かせるというのはある。

ぼくは1日に1万文字は軽くて、最大で2万オーバーぐらい書ける。世の中にはもっととんでもなく早い人もいるので、全然まだまだだけど、まあそこそこ速いとは思っている。なので、『月刊群雛』に出す作品なら、1日あれば書ける。ただし、ネタが固まっていればの話だ。だからぼくはあらかじめじっくり頭で練って、1本の映画のように仕立て上げてから書く。まあ、そんなに厳密にいろいろ決めていなくても、脳内再生すれば都度都度おのずとディテールにピントがあってくるので、流れと勢いだけ逃さないようにしておけばいいと思っている。

だいたい1万字をちょっと超えるぐらいになってしまうので、細かいところで数百文字削って完成という感じだ。『オルガニゼイション』はだいたいそんなルーチンで書いた。3〜8話の連載分6本は、2週間で全部書いた。7話目が少し時間かかったけれど、他はだいたい1日1話ペースで書いている。まあ、やればできるってことだよ。


だから、この時点で原稿ができてなくても問題はない。今日明日で書けてしまうってことだからね。さあ、一旦このページを閉じて、あなたの作品を書いてみよう。



タイトルは12文字まで


タイトルを本文の執筆の前に考えるか、あとから考えるかは人それぞれだが、少なくとも『月刊群雛』に参加するまでには決めておこう。『月刊群雛』のタイトルはシステムの都合上、全角半角に関係なく、最大で12字までだ。これが意外に短くて大変だが、とっておきのタイトルを添えてチャレンジしようじゃないか。


近年のラノベタイトルはとにかく長くてややこしいのを競っているようだが、純文学方面は逆に漢字2文字とかをよく見かける。短い場合かぶりが問題になるが、一般名詞の単語の場合は特にパクリだのなんだの言われることはないだろう。誰だってかぶる。


あと、サブタイトルを入れることができる。どんな風に入れられるかは既刊の『月刊群雛』を参考にしてくれ。実際にぼくの『オルガニゼイション』は連載時(3話〜8話)は毎回サブタイトルを入れてもらっている。



できたら真っ先に自分で読もう


そうこう言ってるうちに、どうやらあなたの作品が書き上がったようだね。

書けたら次に何をするか。それは読むことだ。書いたままでは何もでき上がってはいない。味見をしないで料理を出すようなものだ。あなた自身で最初の読者となって、あなたの作品を最初にジャッジし、レビューしなければならない。

まずはとにかく早く読もう。速読の流し読みで構わない。もしここでつっかかったり、意味がわからなかったりしたら、要修正だ。世の中のだいたいの人は、最初はそんな感じで読むからだ。そこで、うまく飲み込めないようだと、よさは伝わらない。読みはじめから何ページ読んでも加速しないようだと、最後まで読んでもらうのは困難だ。ストーリーの順番を倒置にしたり、思い切ってウンチクを削ってしまったり(あなたは知らなくても、みんなには常識かもしれないからね)、セリフを省いたり、いろいろやりようはある。とにかく、のどごしの悪いところを剪定するために、まずは高速読みをするということだ。

この作業を繰り返して。全編するっと読めるようになれば、いよいよ次の工程だ。



用字の統一って知ってる?


編集の言葉だが「用字の統一」というものがある。これは必須だ。あまり意識していない人が結構いるが、この処理をしないで文章を世に晒すことは、ない。まあ100%ってのはなかなか難しいけれど、可能な限り統一を図るのが最低限必要なことだ。


これは、「できる」を「出来る」って書いたら、少なくともその作品中は全部「出来る」って書くってことだ。「できる」と「出来る」が混在してたりってことは許されない。ダサいからだ。実は、これを忘れてとっ散らかってる人が少なくなかったりする。校正でチェックはあるにしても、入稿前には処理しておきたいところ。


一般的には、本全体で統一がされていないとならないが、『月刊群雛』ではそこまでやりきれないので、作品中でそろっていればいいことになっている。


じゃあ、群雛の編集に任せとけばいいじゃん、と思うかもしれないが、実はそうは問屋が卸さない。作品中では統一すると言った。ありがたいことだ。しかし、あなたの作品が数回掲載されて2つ以上あった場合、それぞれが別々に別々の統一をされてしまっているということになっている。

ということは、このあとあなたの短編集を作ろうとか思った場合、それぞれの作品はバラバラに統一がされているので、また一から再統一を図らなければならない。これはあまりに無駄な労力だ。そんなんだったら、あなたが最初から用字を統一して書けばいいのだ。


なので、あなたはこれからもずっと作家として生きるのであれば、あなたの用字統一表を持っているべきだ。または、シリーズの雰囲気ごとに複数使い分けたって構わない。とにかく、用字統一はしなければならない不可避の作業なのである。お忘れなきよう。


(※編注:『月刊群雛』での統一表記ルールはこちら


特殊文字は先に入れちゃうと話が早い


あと先にやっとくといいのは、特殊文字っていうのかな。縦中横とかルビの処理ね。おっと、用語がわからない人もいるかな。縦中横ってのは書きので半角数字をに書くヤツだ。「ルビ」はふりがなのこと。業界用語だけど超使う言葉なので、ここで覚えて帰ってくれ。知ってる人は読み飛ばしてOK。


縦中横に関しては、ぼくは2ケタ数字に限って使うようにしている。漢数字に統一している場合は不要だけどね。物語によっては漢数字だと雰囲気が出ないってこともあるので、臨機応変にいこう。ただし、用字統一と同じで、1つの物語の中ではどちらかに寄せよう。

縦中横は「 [tcy]25[/tcy] 」というタグを使う。タグって言ったけど、HTMLのタグと同じようなものだね。これはBCCKSの仕様だ。BCCKSのエディタ上でこの指定をしておくと、EPUBに書き出されるときに縦中横のタグに変換してくれるというわけだ。

で、入稿時にあらかじめ文中にこのタグを仕込んでおけば、群雛編集部は余計な作業しないでも、右から左で済んでしまうってことだ。縦中横に関しては、著者がこのタグで指定しないと、そのまま最終校になってしまう。校正時に指定するのは避けて、忘れずに先に入れておこう。


ルビは「 {ふりがな}(ルビ) 」とやると、「 ふりがなルビ 」となる。これもよく使うから覚えておこう。指定記号は必ず半角! ぼくは一度、全部全角でやっちゃったんだよね。結構迷惑かけちゃったから、ここはぜひ気をつけて欲しい。


他にも強調とかいろいろあるんだけど、よく使うのはこの2つだと思う。ぼくは原稿を書くときに下の方にコピペして置いてあるよ。


さて、これで原稿はできたかな?


〈続く〉

[posted by 波野發作

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