群雛を売ろう ― ゼロからおしえる群雛のはじめかた ― hatching primer 第7章

ノウハウ・ハウツー
ゼロからおしえる群雛のはじめかた ― hatching primer

NPO法人日本独立作家同盟の電子雑誌『月刊群雛』に、作家と編集両方の立場から関わることになった波野發作(なみの・はっさく)氏が、『月刊群雛』への参加方法について優しくかみ砕いたガイドを寄稿してくれました。短期集中連載第9回は、「群雛を売ろう」です。

第7章 群雛を売ろう

発売開始は次の火曜日0時だ

『月刊群雛』は、最終チェック直後の火曜日0時(月曜日の深夜24時)に発売される。最初はBCCKSで、その後徐々に他のストアに配信されていく。

多くは2、3日後に配信開始になるが、中にはひと月もかかるところもある。

どのストアで買うかはその人次第なので、他人がどうこうできるものではないが、どこがいいか聞かれたらぼくはBCCKSと答えるようにしている。

理由は2つ。

1つはコピー自由のソーシャルDRMであること。EPUBファイルをダウンロードできるので、好きなビューアで読むことができるしバックアップも自分でできる。もう1つは、POD(プリント・オンデマンド)が選択肢にあることだ。これは紙本を、オーダーごとに印刷・製本してくれるものだ。

まあアプリの使い勝手をどう感じるかは人それぞれなので、普段使っているストアを使えばいいんじゃないかな。

あと、1600〜1800円ぐらいと少し値は張るが、やはり自分の書いたものが載っている号ぐらいは記念にPODで買っておいてもいいかなとは思っている。

同盟セミナーなどでは受付でPOD版を何冊か売っているので、現物を見てから衝動的に買うのもオススメだ。

告知には群雛ポータルを活用しよう

同盟の「広告費」予算は少ない。まったくないわけではないが、ふんだんに使えるわけではない。NPO法人化したとはいえ、財政には余裕がないのだ。

しかし本や雑誌は、それが紙だろうが電子だろうが、宣伝・広告なしではまったく売れないものだ。

まず、編集長がGoogle+やTwitter、Facebookなどで告知してくれるので、シェアするなりリツイートするなりでガンガン拡散しよう。まずはそれでいい。自分の作品が掲載されていればもちろんだが、自分の出番のなかった号でもバンバン拡散した方がいい。なぜなら販売数の底上げをしておけばいざ自分の作品が載ったときには恩恵にあずかれるのだし、バックナンバーが売れるチャンスも大いにあるからだ。

群雛とは、群れることでチャンスを生み出そうという試みなので、自分のファンにはどんどん買ってもらおう。そして自分のファンたちに他の群雛作家を知ってもらうべきだ。これをお互いにやっていれば、他の作家があなたを自分のファンに紹介してくれることになる。

たとえば、あなたの10人のファンに同じ号の9人の群雛作家を紹介したとしよう。みんなが同じことをしていれば、あなたはその号で新たに90人の読者に知ってもらうことができるのだ。90人もいれば、何人かはあなたの新たなファンになってくれる人もいるのではないだろうか。

ファンのシェア、これが群雛が群雛である理由である。単なる便乗で参加しようと思っているのであれば、あなたが得られるものは限られるだろう。群雛作家同士はライバルではあるけれども、同じ船に乗り合わせた仲間でもある。お互いに高めあい、刺激を受けながら巣立っていくべきなのだ。

さて、ちょっと話がそれたが、本題に戻ろう。

自分のブログやTwitter、Facebookなどで、『月刊群雛』の発売を告知する場合、割と悩むのが「どこにリンク貼ればいいねん」である。これはもうズバリ「群雛ポータル」を活用しよう。

群雛ポータルは発売の一週間ぐらい前から、作品のインタビューとサンプルを告知開始する。その自分の作品紹介にリンクを貼っておくのがベストだと思う。ここから各ストアへ繋がっているので、どんなプラットフォームであってもたどり着けるのだ。

『月刊群雛』の書影は宣伝用に活用することが許されているので、自分のブログやランディングページに並べて表示してもよい。むしろどんどんやるべきだ。

群雛の参加者は全員宣伝マンであり、営業マンであることを念頭において、どんどん広めていただきたい。その先に、きっと目指す青い大空があるはずなのだ。がんばろう!

レビューを書こう

とはいえ、何もないのにいきなり「さあ買ってくれ」というのはどうも日本人の感覚には合わないというのも事実だ。買わされ感への抵抗意識は世界一高いかもしれないな我が民族は。

なので、ただ闇雲に宣伝だけしていてもなかなか広まらないだろう。

人は、人が美味しそうに食べているものが欲しくなるという本能がある。ベストセラーほど、どんどん売れるのと同じ仕組みだ。みんなが買っているから買う。自然なことである。

人間は本能に逆らえない。つまり、我々がみんなで面白がってわいわいレビューしあっていれば、つい岩戸を開けてしまうというわけだ。なので、バンバンとレビューを上げてほしいと思う。

オマエはどうなんだと言われると辛いのだけど、今は編集スタッフをやっているので控えている。

というのは、先に原稿を見ているわけなので、裏事情や直した経緯など知っていたのではレビューのしようがないからである。批判する記事も書けない。だってそれがわかってるなら、編集段階で指摘しとけよってことでしょ。

ただ、そろそろ総括的なレビューはしてみようかな、と思ってはいる。レビューというよりは群雛作家の紹介だね。作家ごとのブランディングは絶対に必要だし、群雛の外側に活動を広げるのにも大事なことだし。まあ、この連載がある程度受け入れられたら、ということにしておこう。

全作品レビューが大変なら、一部の作品だけだっていいんだ。

例えば「今月のお気に入り3」とかそういう数を限定したレビューだっていいわけだ。

どう書くかなんて、レビューの書き手の自由だからね。

あとはまあ、マナー的な話なんだけど、ネガティブな話題と、ポジティブな話題の両方がある場合、先にネガティブ、あとでポジティブの方がいいかな。

「会話は楽しかったけど、地の文はヘタクソだった」というのと、
「地の文は下手だけど、会話は生き生きしてとてもよかった」とでは印象が違うだろう。

上げて落とすのは最後に落ちている。落として上げる場合は、最終的に上がっている。まあちょっとしたことなんだけど、お互いリスペクトは忘れないようにってことだね。

個人的にはもう周りがビビるぐらいにガンガンやり合うのも、あっていいのかなって思うんだけどね。ま、そういうのはヤラセじゃなくて黙ってても自然発生するだろうから、まあとにかく活性化が大事ってことで、無理にディスったりする必要はまったくない。ないない。やめてー。

『月刊群雛』のレビュアーは何人かいるけれど、ぼくが紹介したいのは2人。

まずは、爆速レビューをやっている群雛常連作家の米田淳一さん。なにがすごいってとにかく早い。見た中で最速だったのは、夜中に発売になって、朝にはもうレビューが上がっていた。マジびびる。米田さんは『雛の四季報』というレビュー誌もリリースしているので、興味がある人はぜひ見てみて欲しい。

もう一人は「かきぶろ」というブログをやっている「ますもと」さん。この方は群雛作家ではないのだけど、群雛マラソンという試みで、創刊号から一気にずっとレビューを続けている。この記事を書いている段階で、2015年05月号まで書いているので、遠からず追いつくのではないだろうか。この方は本職の編集さんなので、プロ視点でズバリ斬ってくれる。ありがたい。

さああなたも、あなただけの視点でばっさりと『月刊群雛』をレビューしてみないか? きっと値段以上に楽しんで味わうことができると思うんだけど。

〈続く〉

[posted by 波野發作

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