かわせひろしさんの小説『こんにちは赤ちゃん』が『月刊群雛』2016年02月号に掲載! ―― 作品概要・サンプルなど

作品情報&著者情報
『月刊群雛』2016年02月号

『月刊群雛』2016年02月号には、かわせひろしさんの小説『こんにちは赤ちゃん』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプルとインタビューをご覧ください。

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作品概要

 育児アンドロイドのマリコは、まあくんに全身全霊の愛を注ぎ、慈しんで育ててきた。しかしやがて、別れの時はやってくる。

―― 少し不思議な物語

こんにちは赤ちゃん リトル・ビット・ワンダー

「ふやああああ」
 どこか気の抜けた声でその子は泣いた。
「あー、よしよし、まあくんどしたのかなー、ウンチかなー、おなかすいたのかなー」
 マリコは声をかけながら、赤ん坊を優しく抱き上げ、慣れた手つきで確認する。
 うん、おなかがすいているみたいだ。ミルクの時間だ。
 こちらも手早く用意すると、哺乳瓶をそっとまあくんの口元に差し出す。まあくんはすぐさま吸い口をくわえ、もにゅもにゅと吸い出した。温度は完璧な人肌だ。一度たりとも外さない。
 それもそのはず。育児アンドロイドのマリコは、内蔵されたセンサーを総動員して、0コンマ一度以内でミルクの温度をコントロールしているのだから。
 触覚センサーに加え、視覚センサーで赤外線を捉え、温度測定もできる。まあくんの体温測定もリアルタイム。体調管理もぬかりない。
 まあくんはやがておなかも満ちたようで、満足気に哺乳瓶を離した。抱え上げて、背中をぽんぽんと叩く。けぷーと可愛いげっぷをもらす。ぷにぷにの肌が触り心地がよくて、つい頬ずりしてしまう。
 甘いミルクの匂い。本当に愛おしい。
 アンドロイドの自分が「愛おしい」などと、と思われるかもしれない。だが、この内側から湧き上がってくるものは、そうとしか定義しようがない。人の感情だって神経細胞の間の電位のやり取りであり、化学変化の産物ではないか。それが半導体の中で起きているだけで、何が違うというのか。
 とにかく自分はまあくんを愛しているのだ。こんなにも大切な存在を感じたことは、今までなかった。自分のすべてがまあくんのためにあり、命を投げだすこともいとわない。
 そんな深い深い全身全霊の愛をマリコはまあくんに注いだ。

 まあくんは大きな病気もなく、すくすくと育った。はいはいし、立ち上がり、やがて言葉を覚えた。マリコのことが大好きで、まとわりつくように、いつもべったりとそばにいた。
「ねえねえ、マリコ」
「なあに、まあくん?」

※サンプルはここまでです。

作品情報&著者情報

かわせひろし
かわせひろし

―― まず簡単に自己紹介をお願いします

 かわせひろしです。漫画家として活動し、『ケッタ・ゴール!』(ポプラ社刊)連載後、小説家に転進。第十一回ジュニア冒険小説大賞を取って、『宇宙犬ハッチー 銀河から来た友だち』(岩崎書店刊)でデビューしました。
 セルフ・パブリッシングも同時に進めていて、E★エブリスタさんで『君の守護者』を連載しています。

◆ブログ:かってに応援団
http://ouendan.cocolog-nifty.com/blog/

◆Twitter:
https://twitter.com/kawasehiroshi/

―― この作品を制作したきっかけを教えてください

 漫画ではSFショートショートの作品を描いていました。今回『別冊群雛』のコンテストに参加しようとアイディアを出していたところ、いくつか思いついたので、『月刊群雛』にも載せたいとそのまま続けて書きました。

―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください

 サブタイトルは漫画で描いた時から使っているSFショートショートのシリーズ名で、藤子・F・不二雄先生のお言葉からつけました。藤子・F先生のSF短編の切れ味はすごいです。

―― この作品のターゲットはどんな人ですか

 SF好きな、センス・オブ・ワンダーと聞くと心ときめく方へ。

―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか

 通勤電車の行き帰りで三日ぐらい。その後ちょっと推敲に時間を使いました。

―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか

 主にツイッター、ブログです。日本独立作家同盟のコミュニティでも宣伝させていただいています。

―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか

 もっと書く時間がほしいです。totoが当たる、ボストンバッグに入った一億円を拾う、光合成できるようになって食費が要らなくなるなど、働かなくてもいいようになりたいと願っているのですが、実現していません。

―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

 『魔法科高校の劣等生』の師族会議編をまとめ読みしようと、下巻を待っています。

―― 今後の活動予定や目標を教えてください

 とにかくたくさん書くことです。

―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします

 今年は群雛にたくさん載せたいと思っているので、また掲載されましたら、よろしくお願いします。

かわせひろしさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年02月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。

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