SNSにおける情報収集術 ―― インディーズ作家のためのSNS活用術〈7〉

コラム
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[posted by 鷹野 凌

インディーズ作家(※)に役立つショートコラム、第7回のテーマは「SNSにおける情報収集術」についてです。なお、本コラムは今回が最終回となります。

※私は、伝統的な出版手法である取次・書店流通を「メジャー」、それ以外の手段を「インディーズ」と定義しています

普段の視界を編集しよう

どのSNSでも、情報収集において重要なことはまず、「誰をフォローするか?」です。これは、Twitterならタイムライン、Facebookならニュースフィードを流れる情報が、誰をフォローするかによって決まるからです。誰をフォローするかは、自分次第です。つまり、そのSNSをウェブやアプリで開いたときに表示される、最も目にする機会が多い場所を流れる情報は、自分で編集することが可能なのです。まずは、自分の普段の視界を、自分にとって有用な情報だけが流れるよう「編集」しましょう。

Twitterの場合、「誰をフォローしているか?」という情報は公開されています。相手のプロフィールを見ると「フォローされています」という表示も出るので、フォローをやめると相手に伝わる可能性が高いです。相手との関係上フォローをやめたくない場合は、「ミュート」を使うといいでしょう。ミュートした相手の投稿は、タイムラインに流れなくなります。フォローをやめなければ、ミュートした相手からの返信は「通知」タブに届きます。

Facebookも、相互承認が必要な「友達」関係は維持したまま、「フォローをやめる」ことが可能です。フォローをやめた相手の投稿は、ニュースフィードに流れなくなります。フォローをやめたことは、相手には伝わりません。リアルな人間関係上「友達」から外したくない場合に利用するといいでしょう。

フォロー外の情報を検索する

タイムラインやニュースフィードを流れるのは、フォローしている人が直接投稿した情報だけではありません。Twitterなら「リツイート」、Facebookなら「シェア」や「いいね!」によって、フォローしていない人の投稿も流れてきます(Twitterにはその人のリツイートだけを非表示にするオプションもあります)。プラットフォームによる広告が挟み込まれる場合もありますが、基本的にはフォローしている相手がどう行動するか次第で、自分の普段の視界が決まります。

ところが、TwitterもFacebookも、日本人だけで数千万人が利用しています。当たり前の話ですが、全員をフォローすることは不可能です。フォロー外で発信される情報の方が、むしろ圧倒的に多いはずです。例えば作品の感想など自分に関わる情報が、知らないうちに投稿されている可能性もあります。見逃さないよう、検索してみましょう。

Twitterの検索機能は、比較的強力です。検索結果はほぼリアルタイムで更新されるため、いままさに投稿されていることを知ることができます。複数キーワードにも対応しています。「高度な検索」を使えば、除外検索や、物理的に近い場所での投稿、日付を指定した検索なども可能です。

検索では、どういったキーワードを入力するかが情報収集の鍵を握ります。自分の名前、作品タイトル、ブログの名前といった固有名詞は、比較的検索しやすいです。ところが、同じ名前の別人が存在する場合などは、検索結果にノイズが混ざりやすくなります。例えば「ドメイン名」や「URL」、アマゾンで商品別に割り振られた10桁の「ASIN」などは、必まるため、ノイズのない検索結果が得られます。

なお、Twitterの検索結果は、初期状態が「話題のツイート」になっており、「リツイート」や「いいね」をされた投稿が優先表示されるようです。取りこぼしのない検索結果を見るには、「すべてのツイート」タブに切り替える必要があります。

Facebookの投稿検索機能はまだこれから

Facebookは、最近になってようやく投稿の検索機能を実装しました。ただし、本稿執筆時点での正式対応は英語版のみ。日本語版は、一部のユーザーだけが使えるようです。恐らくまだβ版なのでしょう。たまたま私は日本語版でも投稿検索機能が使えるので、現段階の使用感について触れておきます。

FacebookのPCウェブでキーワードを入力して「××に一致する結果をさらに検索」をクリックすると、まず「友達とグループの投稿」が、下へスクロールすると「公開されている投稿」が表示されます。時系列はバラバラ、ソート機能はない、検索結果を絞り込む機能もない、などなど、まだちょっと不便です。

複数のキーワードを入力すれば、ある程度の絞り込みは可能です。ただ、日本語の認識能力がまだ弱いようで、下へスクロールしていくとどんどん無関係なノイズが増えていきます。例えば「群雛」で検索すると、「馬県の人形」「見沢症候」といった投稿まで出てきます。

また、長いキーワードは省略されてしまうため、例えばURLで検索し特定の記事の反響を調べる、といった使い方はできません。それでも、「ドメイン名」や「ASIN」のような、短いけどユニークなキーワードであれば、それなりの結果は得られます。「友達」や「フォロー」以外の状況がほとんどわからなかった以前に比べたら、相当マシになります。正式リリースが楽しみですね。

自分に関する投稿を見つけたら?

検索で、自分に関する投稿を見つけたらどうするか? 私は、感想に対しては、お礼を言ったり「いいね」で謝意を伝えたり、リツイートしたりします。間違いの指摘には、お礼を言って修正します。たとえいまは知らない相手でも、リアクションによって、新しい関係が始まるかもしれません。

しかし、ただの悪口を言われていたとしたら、私はその投稿を見なかったことにします。そういう相手との関係を深めたくないからです。感情のおもむくまま怒りや悲しみを相手にぶつけると、その悪い感情が双方で増幅されて大きくなる可能性が高いです。

SNSは、人と人とをオンラインネットワークで繋ぐサービスです。その名の通り〝社会ソーシャル〟なのです。そこでどう振る舞うべきかは、対面での人間関係と大きく変わりません。このことを念頭に置いておけば、大きく足を踏み外すことなく、SNSを活用できるでしょう。

本稿を読まれた方々の、SNSでの活動と作家活動に幸あれ。

〈了〉

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