にぽっくめいきんぐ『扇風機からホラー風』作品情報&著者情報(『月刊群雛』2016年08月号掲載)

作品情報&著者情報
『月刊群雛』2016年08月号

『月刊群雛』2016年08月号には、にぽっくめいきんぐさんの小説『扇風機からホラー風』が掲載されています。これはどんな作品なんでしょうか? 作品概要・サンプル・著者情報などをご覧ください。

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作品概要

 今月号のテーマ「怖」。

 えっ?

 ホラー、避けて通ってました。

 ええ、やりましょう。

 「ホラー」という概念と、遊んだるわー!

―― 扇風機とホラーって同じなのか!?

扇風機からホラー風 「ホラー」で遊ぼう!

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
 脳髄から伝わる電気信号が、焼き切れそうな細長い神経を通りきれずに漏れ出したかのような、窮屈そうな音がした。

 べたりと畳に広がった扁平な足には、長方形の角が全て削り取られた、楕円に近い大きないぼが、どつ、どつ、どつ、どつ、と横に4つ並んでいる。
 全てのいぼを、笑みが貼りついたような悪童が、押すと押さぬのその間、中途半端に弄んでいる。

 あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
 窮屈そうな音は、いぼから滲み出る膿のように、延々と続く。

 膿出しに飽きた悪童は、貼りついた笑みをひっぺがす。笑みの内側から、やや目を見開いた能面が現れた。
 左から2番目、その下に「微風」と黒く書かれたいぼが、能面の悪童により否応なくギュムリと押し込まれ、意地でも動き出さねばならぬとの脅迫的な命令が、いぼから脳髄へと飛ばされる。
 脳髄は、足の中の狭い空間にギュウと詰め込まれ、脅迫的な命令を、足から頭へと、天地に逆らって伝搬する。
 天の後頭部に押し込まれていたのは、脳髄ではなく、モーターだった。
 脅迫的な命令を受けたモーターは、根元深くまでザックリと差し込まれた黒い金属棒をくわえこみ、棒を、ぐるりぐるりと水平軸に沿って回す。回った棒の反対側では、刃物のように刻まれた螺旋の溝が、うねうねと蠢いていた。

 固定キャップは、人為的に製造された合成樹脂だ。
 粉や粒へとバラバラにされた石油由来の原料。どろどろに溶かされた煮えたぎるソレは、金属の型へと注入され、元の姿とは似ても似つかぬ、異形の姿へと変貌させられる。
 丸い頭蓋の先端を額から鋸でギチギチと引き切った、骨の椀の如き形状へと変貌させられた固定キャップに、黒い金属棒の先端の螺旋が、ギッ、ギギッ、ギギギギギッと、これ以上挿入しきれないぐらいに捻じ込まれる。あとひと捻り、ふた捻りもすれば、固定キャップの内側が裂け、もはや噛み合うことすら適わぬ、阿鼻叫喚の惨状を示すであろう。
 固定キャップとモーターの間には、薄汚れたハネが5枚、ぐりりと捻られ、黒い金属棒を中心に放射状に広がっている。
 ぐるりと回る黒い棒により、強制的に、ハネもぐるりと回される。

※サンプルはここまでです。

作品情報&著者情報

にぽっくめいきんぐ
にぽっくめいきんぐ
―― まず簡単に自己紹介をお願いします

 にぽっくめいきんぐです。お世話になります。
 色々やったり、やれなかったりしています。

 ◆公式サイト『にぽっくめいきんぐ』
 http://nipockmaking.com/
 「作り履歴」タブをご覧下さいませ。半年分の成果物が並んでいます。

 ◆ブログ『にぽブロ』
 http://nipock.sblo.jp/

 ◆Twitter(@mamantick)
 https://twitter.com/mamantick

―― この作品を制作したきっかけを教えてください

 頂いた感想さん達です。
 自分が一番楽しいものを見つけることができました。
 それが、後述の「概念遊(がいねんゆう)」です。
 きっかけとなる感想を下さった皆様、ありがとうございます。

―― 「概念遊(がいねんゆう)」って何ですか?

 造語です。

 音を楽しむで、音楽。
 音で遊ぶで、音遊。(ラーメンズさん)
 数を学ぶで、数学。

 ならば、概念と遊ぶのが、概念遊。
 今回は「ホラー」という概念と遊びました。
 通常は全く怖くない「扇風機」を怖そうに表現できるか? という遊びです。

 これからも、いろんな概念と遊びます。
 

―― この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください

 昨年12月に書き始めて以来、拝読させて頂いた作品群。また拙作への感想を頂けた皆様。
 おかげ様で、やりたいことがハッキリしました!

―― この作品のターゲットはどんな人ですか

 言葉遊びが好きな方です。

―― この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか

 2~3時間、あるいはそれ以上。あちこちで詰まって手が止まりました。
 「扇風機の怖さの表現方法」なんて誰も教えてくれないので、全て手探り。

―― 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか

 ブログ、ホームページ、Twitter、献本など。

―― 作品を制作する上で困っていることは何ですか

 ハッキリした、やりたいことを実行するための「基礎と時間」です。

―― 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

・小川仁志(おがわ・ひとし)『世界一わかりやすい哲学の授業』
 哲学用語(将来、その概念で遊ぶ為)を収集中だからです。

―― 今後の活動予定や目標を教えてください

 文章の発表先が増えました。時間が許す限り、書いて出しすることです。

―― 最後に、読者へ向けて一言お願いします

 お読みくださり、毎度ありがとうございます!

にぽっくめいきんぐさんの作品が掲載されている『月刊群雛』2016年08月号は、下記のリンク先からお求め下さい。誌面は縦書きです。

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